「赤い筋肉」「白い筋肉」って?

 筋線維は、7種類のタイプがあるとされています。最も大雑把なタイプ分けをすると、「速筋線維」と「遅筋線維」という二つのグループになります。速筋線維は5種類、遅筋線維は2種類に分けられ合計7種類。まずは、遅筋線維の1種類(タイプ1)と、速筋線維の2種類(タイプ2A、タイプ2B)。

 速筋線維は収縮速度が速く力も大きい。そのかわりスタミナがないのが特徴。スプリント型の筋線維と言われています。一方、遅筋線維は収縮速度が遅く力も小さい。そのかわりスタミナがある。マラソン型の筋線維です。タイプ2Bはスプリンター中のスプリンター。収縮速度はひじょうに速いけれども、すぐに疲れる。タイプ2Aはタイプ1と2Bの中間的な性質があり、力も速度もスタミナもあるオールマイティな筋線維です。

 この3種類の筋線維は色も違います。タイプ1は赤い色。ミオグロビン、チトクロームという赤いタンパク質を多く含んでいるからです。これらのタンパク質は酸素を筋線維中に取り込むことで、エアロビックなエネルギー生産を助ける働きがあります。だからタイプ1はスタミナがあるのです。一方、タネルギー生産を助ける働きがあります。
 タイプ2Bはミオグロビンもチトクロームもきわめて少ないので、筋線維の色は白っぽくなります。というわけで、速筋線維を白い筋線維、遅筋線維を赤い筋線維を呼ぶのです。では、タイプ2Aはというと、赤と白の中間の色をしているので、中間色、あるいはピンクの筋線維と言います。

 人間の場合、ほとんどの筋肉が平均して速筋50%、遅筋50%なので、筋肉全体としてピンク色になります。ただし、例外もあります。ふくらはぎの奥にあるヒラメ筋は遅筋線維が多く、典型的な赤い筋肉。日常的な動作で使う筋肉、姿勢を維持する筋肉などは赤い筋線維が多いのです。それに対して、ふくらはぎの表面にある腓腹筋はジャンプしたり瞬発的な動きの時に使う筋肉で、速筋線維の割合が多くなり少し白みがかっています。

 オリンピックレベルの選手の場合、スプリンターは速筋線維が多く、マラソン選手は遅筋線維が多いという研究結果があります。もう一つわかっていることは、同じ筋肉の中の白と赤の割合は遺伝で決まるということ。ということは、スプリンターで大成するのか、マラソンランナーになるのか、それとも一般人レベルなのか、それは生まれた時にある程度わかるということです。これまでのたくさんの研究では、速筋線維の割合をトレーニングで増やすことは難しいとされています。しかし、遅筋線維を増やすことは長い時間をかければ可能ではないかと言われているのです。つまり、スプリンターよりマラソンランナーの方が素質だけに左右されないと言えるでしょう。 

※資料参照

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