高所トレーニングの効果は?

 これはなかなか難しい問題です。まず、高所トレーニングで期待される効果について、理論的に説明してみましょう。

 空気中の酸素が薄い状態に体を持っていくと、薄い酸素の中からどれだけ酸素を取り込もうかという適応が体内で起こります。その結果、血液中のヘモグロビンが増える。ヘモグロビンは酸素を肺で結合して組織まで送るので、ヘモグロビンが増えると、酸素を運搬する能力が高まります。このように循環機能やヘモグロビンの量がアップした状態で地上に戻ってきて運動すると、平地で練習を続けているより有利であるという考え方が根本にあります。

 しかし、この考えなら、べつに高所に行かなくてもいい。自分の血を採って保存しておいて、レース前に注射すればヘモグロビンは増えます。ただ、これは「血液ドーピング」と言われ禁止されている。だから莫大な費用をかけて高所トレーニングをするわけです。

 では、効果としてはどうか?じつは、プラスに出る人もいれば、マイナスに出る人もいて、必ずしもパフォーマンスが向上するとは言い切れません。なぜ効果が出ないかというと、一つは高所でのパフォーマンスが落ちてしまうからです。高所では地上と同じようには走れませんから、トレーニング強度が下がってしまう。そこで最近は、高所で日常生活をしてヘモグロビンを増やし、トレーニングは低所環境で行なうという「リビングハイ・トレーニングロー」という考え方が出てきました。

 逆に、高所でトレーニングをすると疲労が溜まってしまうので、むしろ回復の時期を十分に取った方がいいという考えから「トレーニングハイ・リビングロー」を提唱する人もいます。ひと口に高所トレーニングと言っても、とらえ方はさまざま。実践する人によっても差があるので、どれか一番有効かはよくわかりません。JIS(国立科学センター)では、トレーニングを下の階で行ない、フロア全体が低酸素の階で日常生活をするという研究もされています。

 生理学的には、ヘモグロビンの量を増やす目的とその効果のメカニズムははっきりしているので、その人に合ったやり方をすれば効果はおおいに期待できるはず。ただ、実践するには、選手の疲労具合や栄養面など、すべてを綿密に計画しなければなりません。またオーバートレーニングにならないように、つねに血液の検査をしながらやらないと、逆効果になることもある。一つだけ言えるのは、大事な試合の前に安易な一発騰負で高所トレーニングをすることは避けた方がいいということですね。

※資料引用

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