体脂肪がゼロに近づくことによるメリット・デメリットは?

 体脂肪はにっくき敵、自分の体から締め出してしまいたい。そう考えている人がいたら大きな間違い。体脂肪がなければ人間は生きていけません。

 体脂肪の大きな役割の一つは、エネルギーを備蓄することです。栄養素が1gあたりに蓄えることができる熱量は、糖質やタンパク質では4kcal。一方、脂質では9kcalもあります。エネルギーを蓄える上で、脂肪は一番効率のいい物質なのです。また、細胞膜がリン脂質でできているように、脂肪は体の中の細胞をつくる重要な物質の材料としても欠かせません。脂肪がなくなれば細胞もなくなってしまう。すなわち生きていけなくなってしまいます。

 体脂肪の役割はまだまだあります。男性ホルモン、女性ホルモンのような性ホルモン、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールやアルドステロンなどは脂肪でできている。つまり脂肪がないとホルモンもできないのです。このように、私たちの体に必要だからこそ、体脂肪は存在しているわけです。

 では、体脂肪はどのくらいあったらよいのでしょうか。これに関しては「不可欠脂肪」と言って、これ以上なくなると命に関わるという体脂肪の量が一応定められています。男性は体重の4%、女性は12%。女性の数値が高いのは、やはり妊娠や出産に大きくかかわってくるからです。赤ちゃんを産んで育てるには、エネルギーの余力が必要ですし、妊娠から分娩までの間も、脂質からできたホルモンが相互作用しながら働いています。女性の場合、12%を切ると生理が止まると言われていますが、これも子供を産み育てることができなくなりますよという警告だと考えられます。

 トップアスリートの中には、8%ぐらいまで落ちている女性もいますよね。オリンピックなど世界トップレベルで勝負するのならしかたがないかもしれませんが、体にとっては決して良い状態ではありません。女性ホルモンの分泌が悪くなり、骨そしょう症になってしまう危険もある。それでも激しい運動を続けた結果、疲労骨折により引退を余儀なくされたケースもありますから、オフシーズンの間は12%を切らないようにした方がいいと思います。

 男性の場合も、4%を切ることはひじょうに危険ですし、基本的にはありえません。たとえば、脳には神経細胞がたくさんあり、組織の中で脂肪の占める割合がとても多い。体脂肪がゼロになったら、まず脳ミソがなくなってしまいます。どんなに極限まで落としたとしても5%台がリミット。男子の場合、アスリートなら10%、体重制のスポーツでも10%を少し切るぐらいのところが目安になると思います。インピーダンス法(電気による測定)を用いた市販の体脂肪計で3~4%などの値が出ることがありますが、これは測定誤差でしょう。

 以上のように、体脂肪がゼロに近づくデメリットはあっても、メリットはまったくありません。

※資料引用

#体脂肪
#体脂肪率
#性ホルモン
#男性ホルモン
#女性ホルモン